はじめに
犬と一緒に暮らしていると、愛らしい仕草や従順な性格に癒され、信頼関係を築いていくのは喜ばしいことです。しかし、知らず知らずのうちに犬が嫌がる行動を取ってしまい、その結果として信頼関係が薄れてしまうケースも少なくありません。犬の行動や反応から、実は飼い主がやってしまっている「NG行動」に気付くことが大切です。今回は、犬が嫌がる行動と、犬との関係を改善するために気をつけたいポイントについてご紹介します。
無理に抱っこしたり、触ったりする
犬がかわいくて、つい抱き上げたくなったり、たくさん触りたくなることはありますよね。しかし、犬がいつも抱っこや触られることを好むわけではありません。特に犬がリラックスしている時や、逆に緊張している時に無理やり抱っこされたり触られたりすると、犬は強い不快感を覚えることが多いです。抱っこされること自体を怖がる犬もいるため、抱っこを嫌がっている様子が見られたら無理にしないようにしましょう。
犬が抱っこを嫌がる理由には、制約される感覚や、人の顔が急に近づくことでの恐怖心が関係しています。犬の意に反したスキンシップを強要することで、飼い主に対して不信感を抱くこともあるため、犬がリラックスしているときや自ら近づいてきたときにそっと触れるなど、犬の気持ちを尊重して行動することが大切です。
しつこくじっと見つめる
犬とアイコンタクトを取ることは、コミュニケーションの一環として大切ですが、長時間じっと見つめ続けることは犬にとって緊張をもたらす行動です。人間同士では親しみやすさや気持ちを伝える方法として目を見ることがありますが、犬にとってじっと目を合わせ続ける行為は、威圧や挑発に感じられることが多いです。
犬と視線を合わせるときは、短いアイコンタクトをとったあとに、少し目線を外すのがポイントです。これによって、犬に「敵意はない」と伝えることができ、リラックスした空間を共有しやすくなります。特に初対面の犬に対しては、無理に視線を合わせず、犬が安心するまでそっと見守る姿勢が大切です。
大きな声で怒鳴ったりする
犬が問題行動を起こした際に、つい声を荒げてしまうことがあるかもしれませんが、大きな声で怒鳴る行為は犬にとって大きなストレスです。犬は耳が非常に敏感で、特に怒りのこもった大きな声は恐怖心を生む原因になります。また、声を荒げて叱ることで一時的には問題行動をやめさせることができたとしても、犬は何をして怒られたのかがわからず、ただ飼い主に対する恐怖心だけが残ってしまいます。
犬のしつけにおいて大切なのは、冷静で短い指示を出すことです。「ダメ」や「待て」などの簡単な言葉を、静かなトーンで使いましょう。犬は一貫した指示やルールに従って行動する習性があるため、繰り返し冷静に指示を出し、正しい行動を取ったときにはしっかり褒めてあげることで、犬も飼い主の意図を理解しやすくなります。
強制的にお風呂や爪切りをする
犬のケアは健康のために必要なことですが、頻繁にお風呂や爪切りを嫌がる犬も多くいます。特に初めてのお風呂や爪切りは、犬にとっては慣れない環境であり、不安や恐怖を感じやすい状況です。これを無理に行うと、次第に飼い主に対して不信感を抱いたり、ケアの時間になると逃げるような行動が見られることもあります。
お風呂や爪切りに慣れさせるためには、段階的に練習することが大切です。最初は短い時間から始めて、リラックスできる状態を作り、おやつを使って「ケア=楽しいこと」と教えましょう。また、無理に行うのではなく、犬が落ち着いているタイミングで少しずつ行うことで、ケアの時間をスムーズに進めることができるようになります。
急な行動や大きな音で驚かせる
犬は音に敏感な生き物であり、突然の大きな音や動きは犬を驚かせる原因となります。例えば、急に手を大きく振り上げる仕草や、掃除機やドライヤーの音などに敏感に反応する犬も多く、驚かせてしまうことでストレスを感じさせてしまうことがあります。こうした経験が積み重なると、犬は飼い主の行動に対して警戒心を抱くようになり、心を開かなくなってしまうこともあります。
犬を安心させるためには、日常の行動においてもなるべく穏やかに動くことが大切です。何かを取り出すときや、急に動く際には犬に声をかけるなど、配慮を持つことで、犬にとってストレスの少ない環境を提供できるようになります。特に音が苦手な犬には、慣れさせる練習として、少しずつ音量を上げる方法も効果的です。
留守番が多すぎる
犬は社会的な動物であり、長時間一人でいることは大きなストレスになることがあります。飼い主の留守が長引くと、犬は不安や寂しさを感じ、結果的にストレスから問題行動を引き起こすこともあります。例えば、家具を破壊したり、過度に吠えたりする行動は、孤独感から生じるケースが多いです。
できるだけ留守番を短時間に抑えることが望ましいですが、どうしても外出が必要な場合には、出かける前に十分な運動をさせたり、知育トイを用意することで、犬が退屈せずに過ごせる工夫をしましょう。また、慣れさせるためには、少しずつ外出の時間を延ばし、犬が一人の時間に安心できるような環境を作ることが重要です。
飼い主がストレスを感じていることを犬に見せる
犬は飼い主の感情に敏感であり、飼い主が不安やストレスを抱えていると、それを察知して同じように緊張してしまうことがあります。イライラや悲しみの気持ちが伝わると、犬も不安定な気持ちになり、ストレス行動として吠えたり、落ち着かなくなったりすることが増えてしまいます。
飼い主自身がリラックスしていることが、犬の安定にもつながります。犬と過ごす時間を楽しいものにし、散歩や遊びの時間を心から楽しむことで、犬も飼い主と過ごす時間をポジティブに捉えるようになります。
まとめ
犬が嫌がる行動を理解することは、飼い主としての信頼関係を築くために大切なことです。犬の感情や反応に注意を払い、犬が嫌がる行動を避けることで、より健全な関係が築けます。犬は家族の一員として、愛情を持って接することで絆が深まります。穏やかで安心できる環境を提供し、犬の気持ちを尊重することが、犬との幸せな生活を実現する第一歩です。